月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)について

生理前の3~10日間にわたって現れる「精神的な症状」や「身体的な症状」になります。

これらの症状は、生理が始まると少しずつ軽くなって消えていく方が多いです。

月経前の症状(PMS)を月経開始のサインと捉えている女性は多いものの、その不快な症状は毎月、身体的にも精神的にも非常に辛いものです。

20代中盤から30代前半の女性に多く見られる傾向がありますが、

最近では中学生のくらいから「PMS(月経前症候群)」に悩む方も増えています。

また、「勉強」や「仕事」、「子育て」といったストレスを感じやすい時期に、これらの症状が強くなることも多く見受けられます。

PMSの症状とは?

肉体的な症状

  • 腹痛、腰痛
  • 下腹部の張り
  • 頭痛、肩こり、めまい
  • 過食(甘いものを欲しくなる)、便秘、ニキビなどの肌荒れ

精神的な症状

  • 眠気、だるさ
  • イライラ、不安感
  • 無気力

症状は人それぞれで、毎回同じとは限りません。

PMSの原因

  • ホルモンバランスの乱れ
  • ストレス
  • 食生活 

以上が主な原因と考えられます。
 
生理前になると「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が増加し「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が減少する事でホルモンバランスに変化が生じます。
 
また「食生活」も大きな関係性があり、欧米食化が進む事によるホルモンの変化も関係していると言われています。近年初潮が始まるのが早くなってきているのも食べ物の影響が大きいそうです。

PMSの西洋学的治療

おもに低用量ピルや抗うつ剤、安定剤などを使うことが一般的です。

即効性があり症状を一時的に緩和するはたらきはありますが、効能よりも副作用が強く出てしまうこともあります。

一方、漢方では、からだの体質部分を見直し、ホルモンバランスも含めた心身のバランスを整えることを考えます。

からだへの負担も少なく、またいくつかの症状を併発している場合にも総合的に判断して治療ができます。

PMSの東洋医学的治療

目次

気滞(気の巡りが悪くなり、自律神経のバランスが乱れる)

気滞の特徴的な症状として、張る、悶々とする、痛みの症状です。

気の巡りが悪くなることで、

胸やお腹の張り、ゲップや吐き気、便秘や下痢

イライラ、抑うつ感、不安感、不眠などが起こりやすくなります。

気の巡りが悪くなっている場合は、気を巡らせる漢方を使用します。

血虚(血が消耗しエネルギー不足になっている)

女性は、毎月の月経でも血を消耗しやすく、エネルギーが不足になりがちです。

血虚は、血の栄養作用や滋潤作用が不足した状態を表します。

血虚の特徴的な症状として、

虚熱が発生して、のぼせやイライラ

また、血の不足によるめまいや立ちくらみ、だるさなどの貧血のような症状が怒りやすいです。

虚熱や血の不足に対して良質な血を補う漢方を使用していきます。

瘀血(血流が悪くなる)

月経前は、ホルモンバランスや自律神経の乱れによって、代謝も停滞します。

からだが冷えてむくみやすく、血行不良につながります。

血の巡りが悪くなった瘀血の状態では、“痛み・黒ずみ・しこり”の3症状が出やすくなります。

月経前の下腹部痛や頭痛、肩こり、お肌のくすみやくま、冷え、むくみなどの症状が起こりやすいです。

漢方薬では、気血を巡らせ、代謝をよくする漢方を使用していきます。

PMSまとめ

PMSは程度の差はあれど、女性の約9割に見られるとも言われています。不調を我慢して月経が来るのを待つ方も多く、

症状がひどい場合には、仕事や日常生活、さらには人間関係に影響を及ぼすこともあります。

漢方薬には、PMSの一時的な辛さを和らげるものと、根本的な原因にアプローチして徐々に症状を軽減するものがあります。

患者さんの症状や体質に合わせて薬を選び、少し時間をかけながら体質を改善し、不調が起こりにくい身体を目指せるのが漢方の特長です。

PMSの症例

症例①(35歳、女性)

「月経前に、頻繁にめまいに襲われます。乳房の張りが強く、ときに痛みます」

日頃から疲れやすく、頭がぼーっとしがちである。ふらつきや、耳鳴りもある。

月経前には、目のかすみが強くなり、急に鼻血が出ることもある。舌は紅色をしている。

証:「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」

五臓の肝と腎の陰液が不足した状態。

もともとの肝腎陰虚証のところに、高温期に入って体温が上がることにより熱証が顕著に表れ、PMSになっている。めまい、ふらつき、疲れやすい、頭がぼーっとする。耳鳴り、目のかすみ、鼻血などの出血、紅色の舌などはこの体質の特徴である。

足腰がだるい、手足がほてる、寝汗などの症状が見られることがある。

漢方の治療とては、「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」で肝腎の陰液を補う漢方を使用する。

この女性は服用を続けて、4カ月後にの月経ぐらいからPMSが楽になってきた。8カ月後には普段の疲れやすさや耳鳴りも解消された。

月経前のイライラ、落ち込み、情緒不安定などのが顕著なら、肝鬱気滞の「逍遥散(しょうようさん)」、「四逆散(しぎゃくさん)」を使用してPMSを治療していく。

のぼせやめまいが強い場合には、「女神散(にょしんさん)」が適している。興奮して、ふるえやひきつりが生じていれば「抑肝散(よくかんさん)」を使用する。

症例②(32歳、女性)

「月経前の下腹部痛に悩んでいます。差し込むような痛みです」

月経前には頭痛も生じ、肩こりもひどくなる。下半身は冷えるが手は温かく、ときには顔がのぼせる。

唇が乾燥しやすく、舌は青紫色の斑点がある。

証:「瘀血(おけつ)」

血の巡りが悪くなっている状態。

精神的ストレスや冷え、体内の水液の停滞、月経機能の低下などにより、このような体質になる。

排卵後は、母体の妊娠の準備で気・血・津液を体内に溜め込もうとするが、その影響で血の流れが停滞しPMSになる。

漢方の治療としては、血行を促進させる漢方を使用するが、この女性には、下半身の冷え、唇の乾燥などの血虚症状もあるため、「温経湯(うんけいとう)」を使った。

この女性は服用を続けて、3カ月目くらいから月経前の下腹部痛や頭痛が軽減してきた。7カ月目にはどす黒かった経血が若いときの経血に戻った。

下半身の冷えや血虚が顕著でない場合は、「桂枝茯苓丸(桂枝茯苓丸)」「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」など血流を改善する漢方を使用する。

症例③(38歳、女性)

「月経前に、むくみがひどくなり、頭痛が生じます。先日は、夜中にぐるぐると回転性のめまいに見舞われました」

頭痛は鋭い痛みではなく、重い痛み(鈍痛)である。疲れやすく、胃腸が弱く、月経前には下痢になる。

舌は白く、その上に白い舌苔がべっとりと付着している。

証:「痰飲(たんいん)」

体液(津液)の流れが停滞している状態。

気・血・津液などを溜め込んだことで起きるPMS。むくみ、頭痛、めまい、下痢、白い舌など症状が特徴である。吐き気、ふらつき、耳鳴りなどの症状が見られることがある。

漢方の治療としては、「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」で停滞した体液を取り除く。

この女性は服用を続けて、4カ月にはすっかりPMSの症状がなくなった。

疲れやすいなどの気虚の症状がなければ、「五苓散(ごれいさん)」使い、立ちくらみ程度のめまいなら、「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」を使用する。

月経前に血が不足して頭痛、しびれ、湿疹などの血虚の症状が表れる場合は、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」を使用する。

PMSでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

ご予約はお電話やHP、公式ラインにて受け付けております。

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