月経不順

月経不順とは?

月経(生理)は、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの変動によって、増殖した内膜を排出して、また新しい子宮内にするという女性にとっては大切な体の仕組みとなります。

正常な月経

・周期:24〜38日

・期間:3〜7日

通常は24〜38日周期が平均的とされ、理想は28日周期です。

そのため、もし24日以下や38日以上の周期で生理が続く場合は、生理不順と考えられます。

また、生理周期がバラバラで予測できない場合も生理不順に含まれます。

それ以外では、経血の量や色、固まりの有無なども大事な指標になります。

ただし、誰でも多少は生理周期が乱れることはあり、個人差もあります。

例えば、普段は規則正しいのに、ある月だけ40日周期になる場合などは、あまり心配しすぎる必要はありません。

月経(生理)不順の種類

  • 稀発月経:月経周期がいつも39日以上空いてしまう状態
  • 頻発月経:継続的に生理が24日以下での頻度でやってきてしまう状態
  • 無月経:性成熟期以降で生理が3ヵ月以上起こらない状態

「毎月生理が来ない方が楽でよい」からと1か月、2か月・・・と月経異常を放っておくと、子宮や卵巣が萎縮して、将来不妊になるおそれや他の病気が潜んでいる可能性もあるため、早めに検査されることが大切です。

月経不順の原因

生理不順の原因には、冷えや食生活の乱れ、ストレス、過度なダイエット、睡眠不足、ハードな運動といった要因が関係しており、これらがホルモンバランスを崩しやすくします。

特に、ストレスや冷えが加わると、血液の流れが悪くなり、生理が少なくなったり遅れたりすることがあります。

また、思春期や更年期にはホルモン分泌が不安定なため、生理が不規則になりやすいです。

加えて、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や甲状腺ホルモンの異常も生理不順の一因です。

さらに、生理痛があるのが「当たり前」と感じる方も多いですが、正常であれば痛みはないものです。

ひどい場合は、子宮内膜症や筋腫、卵巣膿腫といった疾患につながることもあります。

月経不順の西洋医学的治療

生理不順の治療法は、ホルモンの状態などにより異なりますが、一般的には女性ホルモンや低用量ピルを使って生理を定期的に起こす方法がとられます。

治療には数カ月から数年と長期にわたることが多いため、根気よく続けることが重要です。

もし生理不順の原因が他のホルモンの影響や病気による場合は、その病気自体の治療を優先します。ただし、ピルなどで人工的に生理周期を整えた場合でも、生理不順が完全に治ったわけではありません。

根本的な原因を解決しない限り、ピルをやめると再び生理不順に戻ることが多いのが現実です。

月経不順の東洋医学的治療

漢方では、生理不順は「血の道」と言われ、良質な血液を増やし、子宮や卵巣に十分な栄養が行き届いている環境であることが基本です。

さらに五臓の『肝』や『腎』とも関係があります。

「肝は血を蔵す」と言い、血を貯蔵し循環させる臓腑の一つでもあり、「腎は血を生ず」と言い、血を生み出す臓腑の一つです。

人体を流れる血液や栄養の「血」と、血の流れを動かしている「気」がしっかり体で作れることが大事になります。

月経不順のタイプ別

目次

・気血両虚(きけつりょうきょ)

体に必要な血液や栄養である血と生命エネルギーを意味する気の両方が不足している状態です。

気血は生理の原料です。気血が不足した状態が続くと、卵巣や子宮に十分な良血な血と気のエネルギーが届かず、

よい卵が育たず、排卵もうまくいかないなり、生理不順になりやすくなります。

子宮内膜の厚さや柔らかさにも影響し、結果、生理不順や不妊の原因となります。

気の不足が強いと、生理が早まり、血の不足が強いと生理が遅れ気味になります。

漢方では気血を補い、卵巣や子宮の働きを助けるものを使います。

・腎虚(じんきょ)

『腎』は成長、発育、生殖に関わる臓腑で、年を重ねるにつれて卵巣機能や女性ホルモンの低下に関わっています。

しかし、腎の充実度合いによって、低下スピードに差が出てきます。

また、腎は生きるために必要なエネルギーや栄養の基本物質の精を貯蔵し、その精が血の生成の源になっています。

精が不足することで血が不足し月経不順や不妊の原因となります。

漢方薬では、ホルモンや生殖機能など腎の力を補うものを使います。

・気滞(きたい)

過度のストレスや緊張状態が続くことによって、自律神経のバランスが崩れたり、過度の疲れが溜まっていると、気の流れが滞り、からだ全体の流れに影響を与えます。

気滞の症状が続くと、生理前のイライラや胸が張る、お腹が張る、ゲップやオナラが多い、のどに何か詰まる違和感などの症状を感じやすくなります。そして生理不順になりやすく、基礎体温の変動が激しくなることもあります。

漢方薬では、気の流れを整え、生理周期を安定させるもの使います。

・瘀血(おけつ)

滞った血液の状態のことです。瘀血によって生理が順調に来ないことも、生理不順で古血がうまく出せずにためてしまうこともあります。

精神的ストレスや冷え、体内の過剰な水分により、下腹部の血行が悪くなり、骨盤内や卵巣、子宮の血の滞りが生じやすくなります。そして生理不順や無月経、生理痛などの痛みの症状、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫などの婦人科疾患が生じやすくなります。

漢方薬では、血液の流れを良くし、スムーズな排卵を促す活血薬を使います。

・血熱(けつねつ)

味が濃く脂っこいものやお酒、辛いもの取りすぎや精神的に興奮状態の継続などにより、からだが熱っぽいなどの血液に熱を持った状態のことです。血熱により、血の動きが活発になって生理が早くくるなどの生理不順、経血の量が多い、不正出血などの出血などがよくみられます。

漢方薬では、血熱を冷ます清熱涼血薬を使います。

月経不順まとめ

生理不順の方に多く見られる症状のひとつに「冷え症」があります。

特に、お腹周りや子宮・卵巣が冷えていると、生理不順になりやすいため、体を冷やさないように気をつけることが大切です。

普段から冷たい飲み物や食べ物をよく摂っている、季節に合わない服装を続けている方は、知らないうちに胃腸が冷えて全身の血流が悪くなり、生理が遅れやすくなることがあります。

体を冷やさないような服装や食事に関しては、常温以上の温かいものを選ぶようにしましょう。

また、ストレスや睡眠不足が続くと、生理周期が不安定になり、基礎体温も乱れ、排卵のタイミングがわかりにくくなることがあります。適度にリフレッシュし、できるだけ日付が変わる前に体を休める習慣を持つことが大切です。

月経不順を放置していると、将来的に更年期の症状が重くなったり、老化の進行に影響が出ることもあります。

しかし、生活習慣を見直し、必要に応じて漢方薬などを活用することで改善することも少なくありません。

月経は女性にとって健康のバロメーターです。漢方などで少しずつ正しい月経周期を取り戻していきましょう。

長く悩んでいる方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

月経不順の症例

症例①(33歳、女性)

「月経が早く来たり遅れたりします。経血量も多かったり少なかったりと、その時によってまちまちです」

月経がきちんと28日で来ることもあるが、ストレスが強かったり、緊張したりする日が続くと、月経が乱れる。

経血には血の固まりが混じる。もともとイライラしやすい性格だが、月経前はイライラがさらに激しくなり、乳房が強く張る。

舌は紅色で、その上に黄色い舌苔が薄く付着している。

証:「肝鬱気滞(かんうつきたい)」

肝の気(肝気)の流れが悪くなっている状態。

からだの諸機能を調整する(疏泄作用)臓腑である『肝』の影響により、気の流れが滞ります。

ストレスや緊張の継続によりこのような体質になり、ホルモンバランスの失調に及び、月経が乱れる。

月経周期や経血量の不安定、経血中の血の固まり、月経前のイライラや乳房の張り、紅色の舌、黄色く薄い舌苔などの症状が特徴である。

便秘と下痢を繰り返す、ため息が多い、などの症状を伴うことがある。

漢方の治療としては、「四逆散(しぎゃくさん)」で肝気の流れをスムーズにして月経不順を治療していく。

この女性は、服用して5カ月目くらいから月経が安定して来るようになった。その後もしばらく服用を続けて、イライラや月経前の不調も軽くなった。

怒りっぽい、ヒステリー、のぼせ、口渇、頭痛などの熱証がみられる肝火なら「加味逍遙散(かみしょうようさん)」を使う。

月経周期が不安定で、月経時に腰痛やめまい、耳鳴り、足腰のだるさなどの症候が見られる腎虚なら「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を使う。

症例②(28歳、女性)

「月経周期が短く、20日そこそこで来てしまいます。経血量が多くて疲れやすく、貧血気味です」

月経の間隔が短く、月経が終わってしばらくしたら、すぐに月経が来る。

経血は鮮血ではなく淡紅色である。月経痛はさほど重くないが、量が多いので疲れてしまう。

舌は白っぽい色をしている。

証:「気虚(ききょ)」

生命エネルギーを意味する気が不足している状態。

気の機能の一つに、血など人体に必要なものが体外に漏れ出ないようにコントロールする働き(固摂作用)があっるが、

気虚になると、この力が弱まり、出血しやすくなる(気不統血)。

過労や生活の不摂生、胃腸機能の低下、慢性疾患、もともとの虚弱体質などで気が消耗すると月経周期が早まってしまう。

漢方の治療としては、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」で気を補う漢方で月経不順を治療していく。

この女性は、服用してから少しずつ、月経周期、経血量、色の改善が改善され、8カ月目から28日周期で安定してくるようになった。

頭がぼーっとする、眠りが浅いなどの血虚の症状があるなら、「帰脾湯(きひとう)」を使用する。

症例③(31歳、女性)

「月経の量が少なく、将来ちゃんと妊娠できるのか心配です」

ぽっちゃりとした太めのタイプの女性である。経血は淡紅色で、ねっとりとしている(粘稠)。おりもの(帯下)が多いのも気になる

舌はべっとりとした白い舌苔が付着している。

証:「痰湿(たんしつ)」

水分代謝が悪く、余分な水を溜め込んでいる状態。

大食い、食事の不摂生、過度の飲酒などの影響でこのような体質になりやすい。

痰湿が血の流れを阻害するため経血量が減少し、量が少ない月経(過小月経)になってしまう。

経血は淡紅色で粘稠、肥満傾向、帯下が多い、べっとりとした白い舌苔などの症状が特徴である。

月経が遅れる(稀発月経)、腹部膨満感、吐き気、口が粘るなどの症状を伴う場合がある。

漢方の治療としては、「二陳湯(にちんとう)」で体内たまった過剰な水分を過小月経を治療していく。

この女性は、服用して4カ月後には経血量が増え始め、経血の色や状態もよくなっていった。体重も減り、翌年には妊娠した。

上腹部の膨満感、口が粘るなどの症状が強い場合は、「平胃散(へいいさん)」を使う。

元気がない、疲れやすいなどの気虚の症状があるなら「六君子湯(りっくんしとう)」を使う。

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