人生において大きな節目となる学校への入学。
そのための受験は、どの時代も大変なものです。
特に小学校受験では、お子様がまだ幼いため、高校や大学受験とは違い、親御さんのサポートが重要な役割を果たします。
近年では、試験内容が難しくなったり、競争が激化したりして、準備期間が長期化する傾向にあります。
体がまだ未発達なのに、夜遅くまで塾通いをして睡眠不足になったり、運動不足でイライラしたり。親子ともに大きなストレスを抱えるケースが増えています。
高校や大学受験を迎える頃には、お子様自身が体調管理やリフレッシュ方法を工夫できるようになることが一般的です。
しかし、小学生の場合はまだこころも体も未熟なため、自ら体調を整えるのは難しく、環境の変化やストレスが原因で体調を崩しやい傾向にあります。
小島漢方薬局では、以前からお子様を対象に漢方相談を行っており、中でも中学受験のストレスや体調不良に悩む親子からのご相談を多く受けております。
「中学受験は親の受験」という言葉もあるくらい、親御さん、特にお母さんも強いストレスを感じている場合も多いです。
相談をして必要と感じた場合は、お母さんにも一緒に漢方薬を飲んでいただいています。お母さんが精神的に落ち着くと、お子さんも安心して勉強に取り組めるものです。
本番まで万全の準備をして、頑張った成果が出るよう、漢方薬を上手に使っていただきたいです。
当薬局では、中学受験生に多く見られる健康トラブルについて、よくあるご相談を下記に記載しました。
これらのトラブルの多くは、過密スケジュールによる体力の消耗や、成長期ならではのストレスによるこころと体の抵抗力がまだないことが原因になります。
さらに、女児の場合は月経が始まることで、それに伴う体調不良も少なくありません。
・イライラ、不安感、集中力の低下
小学校5年生から6年生にかけては、塾に通う回数が増え、勉強量も一気に多くなります。普段元気な子どもでも体力的に余裕がなくなると、精神的にも余裕を失いやすくなります。
これにより、イライラしやすくなったり、不安を感じやすくなったり、集中力が低下したりすることが目立ってきます。
さらに、秋以降では思春期の心の不安定さや模擬試験での結果が思わしくないことなどが重なると、悪循環に陥りやすくなることもあります。
月経が始まっている女の子の場合、生理前にイライラしたり、不安を感じやすくなることがあります。これは、月経前にさまざまな不快な症状が現れる「月経前症候群(PMS)」が影響していると考えられます。
・生理不順や生理痛
中学受験の勉強が本格化する小5~6年は初潮が始まる時期と重なります。
生理が始まったばかりの頃は周期が乱れやすく、生理痛も起こりやすいです。
まだ慣れない経験によって集中力の低下や、貧血による体力の低下にも注意が必要です。
・風邪やインフルエンザなどの感染症
インフルエンザなどの感染症が流行する冬は、ちょうど埼玉入試(1月10日~)、千葉入試(1月20日~)、東京・神奈川入試(2月1日~)の時期と重なります。
このため、感染症対策は試験当日に良いパフォーマンスを発揮する以前に、「そもそも試験を受けられるかどうか」に関わる重要な問題となります。
当薬局には、年末になると体力や免疫力を高める漢方薬を求める方が非常に多くいらっしゃいます。
・過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、精神的なストレスが原因で腹痛や下痢が起こる病気です。この症状の特徴は、腸に炎症や傷があるわけではなく、ストレスによって腸の働きが乱れてしまうことにあります。
特に、受験本番や模擬試験、通学や塾へ行く前など、緊張しやすい状況で症状が出やすいのが特徴です。
・その他の疾患
チック症:まばたきや咳払い、首振りや奇声が本人の意思に関係なく繰り返し出てしまう状態。
心因性嘔吐症:胃の炎症などは見られず、ストレスの影響で吐き気や嘔吐が起きてしまう状態。
咬爪症(こうそうしょう):爪噛み症とも言われ、ストレスなどをきっかけに手指の爪や爪の周りの皮膚を無意識にむいてしまう状態。
抜毛症(ばつもんしょう):ストレスなどで頭髪やまつ毛を抜いてしまう症状を指し、脱毛症のように自然に抜けてしまうのではなく、自分で抜いてしまう状態。
・精神的ストレスを緩和する漢方薬
漢方医学において、五臓の「肝」に精神ストレスや過度の緊張続くことで、気滞(きたい)という状態に陥ってしまいます。気滞による具体的な症状としては、気分の浮き沈みが激しい、イライラしやすい、精神不安、緊張しやすい、神経質、食欲不振、胃痛、腹痛、不眠などが現れやすくなります。
気滞はしばしば、過敏性腸症候群(IBS)やチック症、心因性嘔吐症、咬爪症、抜毛症などの発症の原因になります。このような症状が出ている場合は、気滞の改善をする治療が優先になります。
漢方薬では、気滞を解消する理気薬(りきやく)を使用していきます。
よく使われる理気薬には柴胡(さいこ)・香附子(こうぶし)・陳皮(ちんぴ)・厚朴(こうぼく)・枳実(きじつ)・木香(もっこう)などがあります。
・気力体力を向上する漢方薬
長時間勉強で頭を使ったり、夜遅くまでの勉強による睡眠不足が続くと、生命エネルギーである気が不足した気虚(ききょ)状態になってしまいます。気虚による主な症状としては、疲れやすい、気力が出ない、気分が落ち込みやすい、かぜを引きやすい、食欲不振、食後眠くなるなどが現れやすくなります。
漢方薬では、気虚を改善する補気薬(ほきやく)を使用していきます。
よく使われる補気薬には、人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)などがあります。
・中学受験を支える保護者さまの漢方薬
中学受験を控えたお子様を支えている保護者の方に多いのは、主に精神的な不調です。具体的には、強いイライラや憂うつ、不安、やる気の低下、不眠といった症状が見られます。
また、ストレスによる不摂生な食事や食欲不振などもよくあるケースです。これらの多くは「気の巡りの悪くなる(気滞)」に関連するものです。
特に不安や不眠が強い場合は、「心血虚(しんけっきょ)」という状態が考えられます。
この場合、竜眼肉(りゅうがんにく)、酸棗仁(さんそうにん)、遠志(おんじ)といった心に必要な血を補う漢方薬を使用します。
保護者の方がストレスなどで気滞になると、お子様も同じような症状を感じることがあります。
漢方には「母子同服(ぼしどうふく)」という考え方があり、これはお子様の不調を改善するために保護者も一緒に漢方薬を服用するというものです。保護者の方の心身が安定すると、お子様の状態も良くなることが多いという経験に基づいています。母子同服は必ずしも「同じ」漢方薬である必要はなく、家族がそれぞれの状態に見合った漢方薬を服用すれば治療効果も格段に上がるとされています。
今回は中学受験をサポートする漢方薬をご紹介しました。
中学受験以外では、食生活の乱れ、スマホやゲームのし過ぎによる睡眠不足、友達関係など、近年子供を取り巻く環境は子供のこころと体の発育に決してよいとは言い難いものがあります。
そのため、子供の漢方相談は、ここ数年大変増えています。
漢方薬は身体に負担をかけることなく飲むことが可能で、身体症状だけではなく精神症状も同時にカバーすることができ、成長期のお子様の体や脳の発達にも良いと考えられています。
そのため、気になる症状が改善した後も、成長期のお子さんにはなるべく漢方薬を長く続けるようにお話しています。
お子様のご体調で気になることが御座いましたら、ぜひ、漢方薬を検討して見てください。
ご予約はお電話やHP、公式ラインにて受け付けております。
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