「酒は百薬の長」 という言葉があります 。
適量のお酒は、どんな薬よりも効き目がある、といった意味合いのことわざです。
漢方(中医学)の世界でもお酒には、さまざまな効能があると考えます。
- ビール(寒性/苦辛)
→鬱を改善、ストレス解消、体の熱を冷やす
- 日本酒(温性/甘辛苦)
→身体を温める、血の巡りをよくする、筋肉のこわばりを解消
- ワイン(温性/酸甘渋辛)
→身体を温める、気の巡りをよくする、関節の痛みを解消
たとえば、ビールは中医学で寒性の食材になり、
体内の余分な熱をとり、 うるおいを補い、 鬱々とし た気分 を解消して、 食欲を改善
また、日本酒やワインは身体を温め、気や血の巡りを良くする働きがあります。
性質の後に示した味の部分は五味といって、生薬はすべてこの五味で分類されています。
「甘」は、疲れや痛みを軽減、気を補う働き
「辛」は、発汗作用で余分な熱や水を排出、代謝を上げる
「苦」は、解毒、解熱作用
「酸」は、気や汗を引き締める作用
お酒はその種類によって「甘」、「辛」があり、それによって効能が少し違ってきますが、
疲れを癒し、気を補い、身体を温めてくれる日本酒は、まさに百薬の長ではないでしょうか
つまり、暑い時はビールなどで気分をサッパリさせたいとか、寒い冬は日本酒を熱燗で身体を温めたいというのは、
中医学的にも 「まさに、その通り!」という感じなのです。
ただし、ご存知の通りかと思いますが、 アルコールには 身体的、精神的依存性があります。
そして、『耐性』が非常に強く、飲むほどに量が増していくため、 正しい距離感を持ってつき合っていかないといけません。
「酒は飲んでも、飲まれるな」 という言葉が示す通り、
きちんと自己管理をしないと、簡単に飲み込まれてしまいます……
皆様、くれぐれもお気をつけ下さい。
小島漢方薬局
小島慶介